TOEICは特殊なテスト、対策必須


TOEICテストには、大きく分けて「TOEIC Listening & Reading テスト (L&R)」と「Speaking & Writing テスト (S&W)」があります(他にもありますがここでは触れません)。

一般的にTOEICスコアとして語られるのは「TOEIC Listening & Reading Test」の点数です。本ブログでも注記なしにTOEICと標記するときは、このL&Rテストを指すとお考え下さい。
これは聞き取り力と読解力のみを測るテストで、リスニングが45分間・100問、リーディングが75分間・100問、合計2時間で計200問のテストです。
満点は990点ですが、単純に一問=990/200=4.95点という配点ではありません。毎回毎回平均点や分布などによって調整がされているようで、基本的には同じ英語力の人が何度受けても同じ点数が出るように、という考えで採点されています(ですので、全般に平均点が低い場合には全問正解でなくても990点となったりします)。2017年1月のテストでは、平均が574.3点となっています。
回答はすべてマークシート方式で、和訳・英訳の作文はありません。

設問形式についてはこちらの公式を御参照下さい。

以下に私が考えるTOEICの特徴を記します。

設問量が多い

リスニングは45分で100問なので一問あたり0.45分=27秒、リーディングは75分で100問なので1問あたり45秒しかありません。
リスニングはある問題に詰まっていると早くも次の問題が読み上げられます。どこかで引っかかっていても無情に出題は続き、45分きっかりで終わります。
リーディングもこの持ち時間で短文を穴埋めし、長文を読み、設問に解答しなければなりません。
TOEICでは、英語力と同時に高度な情報処理力が必要です。リーディングでは、全体の時間配分を計算しつつ、確実に正解をとれる設問を逃さないスピードが要求されるのです。

ビジネスパーソンを意識した設問

まず、長文の題材が人材募集であったり、請求書であったり、ビジネスパーソンが職場や日常で実際に出くわす場面を想定したものが多いです。純文学作品のようなテキストが出題されたとは寡聞にして聞いたことがありません。
TOEICには特有の頻出単語があります。中でも経営用語や企業内で使う用語は必須です。たとえば、
contract:契約、headquarters:本社、agenda:議題...
などです。

このあたりはカナカナ化しているから簡単だとして、
crate:木箱・プラスチック製の箱、refreshments:飲み物、pier:桟橋、complimentary:無料の...
あたりになるとどうでしょうか?

日本語のイメージからすると、他に代替語もありあまり優先度が高くないような気がいます。実際私もテスト対策という意味でいやいや暗記しました。
しかし、実際に海外に行くとこれらの単語に確かによく出くわし、さすがよく考えられているなーと驚いた覚えがあります。

リスニング:方言話者が登場

アメリカ英語、カナダ英語、イギリス英語、オーストラリア英語の4つのアクセントの話者が登場します。多くの人がオーストラリアやカナダを苦手にしています。私はイギリスも苦手でした。オーストラリアで有名なのは a を ai と発音するものです。nameが”ネイム”ではなく”ナイム”になります。
アクセントについては普通の日本人が触れる機会も少なく、学習できる教材も限られています。

TOEICで高得点をあげるには

以上をふまえ、TOEICで高得点をあげるにはどうすればよいでしょうか。
もちろん英語力そのものを上げるための学習をすることが前提です。
その上で、まずはTOEICの問題形式に慣れ、特有の語彙を覚え、アクセントの相違を把握し、一定時間内での「設問処理力」を磨いていく必要があります。
私の印象では、問題形式に慣れているかどうかで、50~100点くらい点数が違います。

ただし、誤解しないでほしいのですが、TOEIC対策とは無味乾燥なテスト対策というみみっちい話ではないと思います。先に書いたとおり、TOEICで要求される情報処理力は、海外で実際に英語を使う場面でも不可欠なものです。例題の長文や頻出単語も実用的です。

つまり、私の実感では、TOEICのテスト対策とは”英語力そのものを上げる”ための学習に他ならないのです。TOEICはかなり正確に英語力そのものを測定していると思います。

TOEICスコアが高くてもろくすっぽ話せない、という人は確かにいるでしょう。L&Rテストは「話す」を測定していないのでなおさらです。
しかし、リスニング力&リーディング力と話す力は必ず相関があります。
話せない人は単にアウトプットの練習が足りない・場慣れしていないだけです。TOEICスコアが低くてそこそこ話せるという人はいるかもしれませんが、それでいっぱいいっぱいの筈です。TOEICスコアが高い人は、少しの場慣れでスコアが低い人よりも必ず話せるようになります。


(画像クレジット Oskar Kölling ; The battlefield without computer reconstructed. Russians + Saxons against the French. The location is there where the Neuer Teich is today.)

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