誰も教えなかった中国語の原理原則 ~音読み、訓読み、ピン読み


間違いだらけの中国語教科書

さて、あなたは中国語を習おうと思いたち、書店に行きました。
多くの参考書・入門テキストは、まず発音方法の解説から始まっています。
母音、子音、四声、ピンイン...。
見慣れない記号ばかりでクラクラしてきます。
ここをクリアしないとまるでその先に進めないような感じです。

こういった教科書をつくる人に言いたい。
失礼ながら、これで学習者の興味が高まると思っているのでしょうか?

私は、こういったテキストの構成が中国語の心理的な難易度を上げ、潜在的な中国語離れを引き起こしているような気がしてなりません。
中国語の教科書は、もちろん中国語の専門家が書くべきです。しかし、多言語マスターを目指して中国語を学ぶ人がまず知りたいのは、中国語が他の言語と比べてどのような特徴があるのかというポイント、肝の部分です。
最初に学ぶべきは、外国語としての中国語の特徴・原理原則なのです。

中国語をマスターする=ピン読みをマスターする

では、その誰も書かないその原理原則とは何かをここでお教えしましょう。
それは、「中国語を覚えるとは漢字の中国語発音を覚えること」だということです。

ちょっと何言ってるかわかんねー、という方にもう少し説明しましょう。

「教える」という言葉に使われる「教」という漢字があります
これは、日本語の音読みなら”キョウ”(教師、説教など)ですね。訓読みなら”おし-える”、”おそ-わる”です。
これが中国語の場合、”ジャオ”(jiao;1声または4声)になります。
”教課”の場合は「jiao(1声)ke(4声)」、”教育”の場合は「jiao(4声)yu(4声)」となります。

つまり、「教」という言葉には日本語で”キョウ”、”おし-える”、”おそ-わる”という読み方があるように、中国語では”ジャオ”(jiao;1声または4声)という読み方になるのです。

この中国語読みを、中国語の発音表記法、ピンインにちなんで仮に”ピン読み”としましょう。
そうしますと、このピン読みをマスターすれば、その漢字を中国語で読むことができ、その漢字を組み合わせて文を発声できるのです。
マスターというと大げさですが、要は音読み、訓読みに合わせてピン読みを覚えるというだけの話です。
「中国語を覚えるとは漢字の中国語発音を覚えること」とはこういう意味です。

小学生の時を思い出して下さい。
国語の時間、漢字の書き取り練習が必ずあった筈です。
そこでは、新しい漢字と共にその書き順や読み方(音読み、訓読み)を習得しました。
皆さんは既に相当数の漢字を知っています。中国にない日本だけの漢字や、日本にない中国だけの漢字もありますが、それでもかなりの部分文字については類推ができるのです。つまり、新たに覚える漢字はそれほど多くなく、中国語における多くの作業は既知の漢字に対する”ピン読み”を覚えるだけです。

この”ピン読み”を正しく発音するために、多くの教科書で冒頭に割かれている母音、子音、四声、ピンイン...などのレッスンがあるのです。
この関係をおさえないままで練習をはじめても、とにかく発音が大変で膨大だなという印象しかもてません。

当初はカタカナ読みでも四声があやふやでも全く構いません。発音の正確さに拘ってスタートからつまずくよりも、どんどん音読を進めていきましょう。量は質を養成します。

「変なクセがつかないように最初に徹底的に正しい発音をマスターすべきだ」という意見もあると思いますが、漢字とはすべて単語の中、文章の中に含まれているものです。
個々の母音、鼻母音などの発声練習を無味乾燥に繰り返すよりも、文章を読み、シャドウイングする中で発音を徐々に見本の音声に近づけていった方がはるかに効率的です。


(画像クレジット M4RC0)

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